【妄想読書】もしも週末のカフェ散歩のお供にするなら
清澄白河に住むようになってから、土日はカフェ散歩に出かける機会が増えました。
もちろん、どんな本を持っていってもいいんですが、カフェ読書に似つかわしい本ってどんな本だろう?とオススメを考えてみました。
妄想シチュエーション
○カフェは古いアパートを改造したフカダソウカフェ
※実際清澄白河にあるオシャレカフェです。オススメです。
○季節は秋!お散歩日和です。
○2時間くらいはまったり過ごしたい
○何読んでるの?と通りがかりのカフェ男子に声をかけられる可能性も!?
そんな時はこんな本
○カフェの雰囲気に合う落ち着きのある上品な本
※持ち歩くの分厚すぎるのはNG
○何を読んでるか聞かれるの大歓迎な自分ブランディングにもなる本
○のめり込みすぎてすごい形相になるといけないので、良い意味で軽い読み心地の本
オススメしたいこの3冊
①三島由紀夫/不道徳教育講座(角川文庫)
まず少しでも本に興味のある人なら三島由紀夫を知らない人はいないだろうということをお伝えしたい。また私調べですが、三島由紀夫は「読書が趣味」を公言する年上の殿方からの受けが大変良いのです。
しかも読んでいるのが「潮騒」だとベタすぎて三島文学初心者感があるけど、このエッセイは知らない人が多くて渋い。
逆にもし三島由紀夫を知っていても読んだことない普通の人(趣味が読書でない人)に話しかけられた場合でも安心です。
「三島由紀夫っていってもこの本はユーモアたっぷりで面白いから難しくないですよ。たとえばこの章なんて…」と答えて、本の内容について話題を広げつつ、ガチガチの文学少女とは思われないよう演出できます。
つまり、話題に事欠かない1冊なのです。
で、漸く中身についてなのですが。
柔らかく、まるで太宰のようにお茶目な三島先生に出逢える至高の1冊でございます。
だんだんと不道徳ではなく道徳についてのエッセイになってきてるのもご愛嬌。そして遊び心溢るる文章の中にも日本語を自在に操る三島文学がその片鱗を覗かせていて時折はっとさせられる。
一番好きなのは「教師を内心バカにすべし」の
先生という種族は、諸君の逢うあらゆる大人のなかで、一等手強くない大人なのです。ここを間違えてはいけない。
というところ。本当にそうあってほしいと心から思います。
次にぐっときたのがこちら。
やたら人に弱味をさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく「無礼者」と呼びます。(略)どんなに醜悪であろうと、自分の真実の姿を告白して、それによって真実の姿をみとめてもらい、あわよくば真実の姿のままで愛してもらおうなどと考えるのは、甘い考えで、人生をなめてかかった考えです。
一見不道徳的な言説から人間の奥深さと道徳の真の在り方を考えました。
②星野源/そして生活はつづく(文春文庫)
星野源さんって歌手の方なのですがご存知ですか?
私はこの本から星野さんの曲を聞くようになりました。
最近芥川賞を受賞された又吉さん初め、芸能人のかいたエッセイはたくさんあるのですが星野さんのエッセイはサブカルとオシャレのちょうど真ん中の良い位置にポジショニングしていて、まさにカフェがぴったりだと思うのです。
そしてこのエッセイ、超笑えます。
公共の場所で読むならその点だけは要注意です。
「料金支払いはつづく」でダメ人間ぶりを嬉々として露呈していたかと思えば、あとがきで"ちゃんとした大人"発言をどや顔でしてくる悪ふざけぶりや未解決のままの謎のブラジャー事件など。
けれど、お腹痛くて友達できなくて二足のわらじを不器用に履きながら、沢山のことを思索し、書き留めるその姿勢にぐっときて、ぴんと背筋が伸びる思いがすることもたびたびでした。
たとえば私がいま何をしていても気持ちよく、健康で、お金もあって、不自由なことなど一つもない暮らしをしているのならば、表現なんてしなくても全然いい。(略)視力の弱さは目が悪いということとは違う。それはその人に与えられたチャームポイントだ。そのチャームの集合体がその人であり、その人が生み出すものにダイレクトに影響を与える。せっかく自然に生まれた「感受性のチャームポイント」を矯正してしまうのはもったいない。
Kがコーヒーを飲みながら言った。「ばかだからばかなことしか覚えていないんですよ。」私は耳を疑った。こんなに面と向かって人のことをばかと言える人がこの世にいるのか。(略)「確かに、演技にしても、作品づくりにしても、そのカップラーメンをストーブに置いちゃうようなばかな感じが役立ってると思うんですけどね。でも、ばかがばかに自信を持ったら終わりですよ。そんなの恥ずかしいですよ」すごい。機関銃のような正論が私の心を打ち抜いてゆく。私は今とてもばかにされているのに、なんだか気持ちがいいほどだ。
…Kさん素敵。
③トルーマン・カポーティ著 村上春樹訳/ティファニーで朝食を(新潮文庫)
この流れでもうおわかりかと思うのですが、かの有名な「ティファニーで朝食を」、村上春樹訳というところがポイント!
話題の幅広いですよね。村上春樹の訳はどうか、という話から、オードリーヘップバーンのあの映画の話、それから最近実写ドラマ化された漫画の「いつかティファニーで朝食を 1巻」がおもしろいよねーという話まで。
どんな作品なのかというと、“第二次大戦下のニューヨークで、居並ぶセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー”と同じアパートに住む駆け出し小説家が彼女とどう出逢い、関係を築いていったのかという話。
空を見上げている方が、空の上で暮らすよりはずっといいのよ。空なんてただからっぽで、だだっ広いだけ。そこは雷鳴がとどろき、ものごとが失せていく場所なの
ホリーの魅力に酔いしれる。それでも空を生きることを選ぶホリーの孤独さと意志の強さがたまらなく切ない。
村上春樹訳しか読んでないですが、訳はとても良いです!!
都会で孤独を感じたことのある女性ならきっと共感できる1冊です。
コミュニケーションツールとしての読書
というのは、あまり好きではないんですけど、 何読んでるの?って聞かれた時に、「へー…」と全く盛り上がらずに会話が終わると、巻き込み事故というか(聞いたのそっちなのに気まずくするなよ!)、自分につい責任を感じてしまいます。
カフェは公共の場所ですし、背表紙をはずしてあえてそういう隙をつくって、いざというときに備えるのも良いんじゃないかと思うのです。
それこそ妄想読書ですので、もしかしてそこで恋が始まる可能性にも存分に期待しておきませう(*´∀`*)